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2016年5月25日 (水)

2012.12.14

『電波・電影・電視 現代東アジアの連鎖するメディア』(青弓社)は、ラジオからテレビの時代へと変わる戦後の東アジアを当時の新しいメディア“テレビ”を中心に、東アジア各国でどのようにテレビメディアが扱われ、社会で受容されてきたかをまとめた本で楽しく読ませていただきました。個人的に香港映画ファンとしては70年代の香港のテレビ事情が熱い。1967年「麗的映声(テレビ)」1局独占だった香港に「無線テレビ」「佳視テレビ」という二局が相次いで開局し、「麗的テレビ」の独占が崩れ香港にテレビ局三局が鼎立。熾烈な視聴率競争を繰り広げるという、本当に中国は天下三分の計がDNAに刷り込まれているのだなぁと関心しましたが、その熱い戦いの中で「Mr・Boo!」シリーズのマイケル・ホイがテレビと映画の境をなくし、テレビから映画へ、映画からテレビへと人材の動きが活発になったからこそ、70年代からの香港エンターテイメントの隆盛につながるという歴史は、香港映画ファンとして、ぽかりと空いていた知識が埋まったことがとても快感でした。
 戦後から60、70年代にかけて、社会が成熟し多元性が形成され、多様なメッセージや娯楽、文化が必要とされた中で、テレビがその全を一手に引き受けていたというテレビ自体の凄さ。それだけに国家体制が頻繁に替わるなど混乱した冷戦時代の東アジア各地域では国民統合に利用されやすいメディアであったということも考えさせられ、興味の尽きない内容でした。類似書が無いことでも本書の存在はとても貴重だと思います。

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