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2015年5月

2015年5月 4日 (月)

【書評】映画をより深く楽しむにあたり必携の名著 『60年代アメリカ映画100』

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『60年代アメリカ映画100』 石澤治信・渡部幻編 芸術新聞社

図書新聞 No.3177 ・ 2014年10月04日掲載

 書店の陳列方法に「文脈棚」というのがある。
ある一冊の本の両隣に、内容、読後の興味が向かうであろう繋がりのある本を陳列する方法である。この文脈棚から一冊の本を抜き出して読んでしまうと、その関連書まで気になり次から次へと手に取ってしまい、読書の深みにはまり込んでしまうなんとも危険な陳列方法なのである。
 
 そしてそれは映画においても同様なのである。ひとつの映画作品を語る際、この文脈というものがより深く、より魅力的に作品を彩るのである。

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【書評】SF映画ファンにとって特に刺激的な本 『SF映画で学ぶインタフェースデザイン――アイデアと想像力を鍛え上げるための141のレッスン』

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『SF映画で学ぶインタフェースデザイン――アイデアと想像力を鍛え上げるための141のレッスン』
安藤幸央監訳  丸善出版

図書新聞 No.3174 ・ 2014年09月13日掲載

 子どもの頃、『スター・ウォーズ』に登場するミレニアム・ファルコン号やX‐ウイングという宇宙船の操縦席にある計器類とスイッチ類にシビれた。とてもカッチョよかったのである。子どもにとってSF映画=インタフェースだった。当時、親戚の家にあった特大のシステムコンポにはツマミやボタン、そしてトグルスイッチがたくさん付いていて、僕はミレニアム・ファルコン号を発進させる時のハン・ソロになりきりってスイッチを押しまくりコンポの設定をメチャメチャにして怒られた。
 
 そんな恥ずかしいことを思い出したのが今回紹介する『SF映画で学ぶインタフェースデザイン』である。本書はSF映画に登場したインタフェースデザインの運用面、実現面を真面目に考察したものである。

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【書評】「立ち位置」を巡る女の子たちの戦史 『ギャルと不思議ちゃん論――女の子たちの三十年戦争』

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『ギャルと不思議ちゃん論――女の子たちの三十年戦争』 松谷創一郎 原書房

図書新聞 No.3169 ・ 2014年08月02日掲載

 古来より人々は未知なるものに対し畏怖の念を抱いてきた。
現在、オッサンにとってその対象は〝女の子〟である。
 
 本書は80年代から現在まで、30年にわたる、女の子の文化的サバイバルをまとめたものである。
 
 十代の女の子は80年代に入るまで〝少女〟と呼ばれていた。
身体的には大人である〝少女〟は社会的にはまた子どもであるとされ、抑圧された存在であった。しかし80年代に入り女性の価値観も変化し、十代の〝少女〟はおニャン子クラブの女子高生ブームを経て90年代に〝コギャル〟という主役に躍り出たのである。

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【書評】ヤンキーの兄ちゃんは『チャンプロード』を買う 『世界が土曜の夜の夢なら――ヤンキーと精神分析』

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『世界が土曜の夜の夢なら――ヤンキーと精神分析』 斉藤環 角川書店

図書新聞 No.3165 ・ 2014年07月05日掲載

「はい! 下館から来ました!」と爽やかな笑顔で言ったのは三人のヤンキー少年たちだった。
 ある日、店の外に出るとリーゼントや、茶髪でマスク、かぶっているというよりも首から下げているヘルメット。そんないかにもなヤンキー少年たちがバイクに跨がって談笑していた。一人の少年が跨がっていたバイクが昔自分が乗ってたバイクと同じだったために、「良いバイク乗ってるね」と声をかけたら返ってきたのが冒頭の言葉である。
 これが北関東の日常である。
 

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【書評】本気も本気な秘宝館 『秘宝館という文化装置』

33070264『秘宝館という文化装置』 妙木忍 青弓社

図書新聞 No.3161 ・ 2014年06月07日掲載

 たしか僕の秘宝館初体験はデートだった。
 1970年代から80年代に全国30館にのぼり隆盛を極め、90年代に衰退していく秘宝館。現在は我が地元栃木県日光市の鬼怒川秘宝殿、静岡県熱海市の熱海秘宝館、佐賀県嬉野市の嬉野武雄観光秘宝館の三館を残すのみとなった。貴重な秘宝館が地元にあることに、栃木県民の僕は万感胸に迫る思いである。

 秘宝館は性をテーマにした娯楽施設で、そのため社会の低位に位置づけられている。そんな秘宝館を文化的側面からいたって真面目に調査研究したのが本書である。
 
 

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【書評】なんと気持ちのいい連中だろう 『あかんやつら――東映京都撮影所血風録』

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『あかんやつら――東映京都撮影所血風録』 春日太一 文藝春秋

図書新聞 No.3156 ・ 2014年04月26日掲載 

■「なんと気持ちのいい連中だろう」とは
ルパン三世の映画でヒゲのオッサンが言った名言であるが、まさしく本書に登場する人々は気持ちのいい連中である。
 
 例えば東映京都設立時の中心となったマキノ光雄。
五一年、マキノ光雄のいた東映京都の前身である東横映画は月四本もの映画を製作し続け、しかし作れど作れど経営は火の車であった。追加融資を頼むべく片岡千恵蔵を引き連れてオーナーである五島慶太に会い土下座。「助けてください!」と涙を流すがもちろん芝居。  そんな状況で正月映画三本を作らなければならず、製作の進行は過酷を極める。一本は兄雅弘が担当したが、マキノ光雄は二本同時に製作。進行の遅さに業を煮やした光雄がスタッフを集めて演説をぶつ。

「この二本が間に合わなんだらな、わしはこの撮影所に火をつけてその中にとびこんで死んでやる。そうなるとお前らは女房子供かかえて路頭に迷うんじゃ、どや、それでいいんか、ええか、わかったな、間に合わなんだら、大変なことになるんや! ええか、頼むで!」

 スタッフ一同「親爺ッ! まかしとけや!」。

果たして正月興行に間に合うのであった。なんと気持ちのいい連中だろう。
 

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